ボーフェンジーペン・スパイダー登場! BMW Z4が435馬力の限定99台ロードスターに
BMW「Z4」をベースにした新たな2シーターロードスターが登場しました。
その名は「Bovensiepen Spider(ボーフェンジーペン・スパイダー)」。
手掛けたのは、かつてBMWとの深い関係を築いてきたアルピナ創業者一族の名前を冠するドイツのBovensiepenです。
2026年9月10日に発表されたこのモデルは、単なるZ4のチューニングカーではありません。3.0リッター直列6気筒エンジンを435馬力まで引き上げ、専用シャシーや内外装を与えたうえで、わずか99台だけがハンドメイドで生産されます。
BMW Z4が姿を消した今だからこそ生まれた、非常に興味深いロードスターです。
BMW Z4をベースに生まれた「ボーフェンジーペン・スパイダー」
そもそも「Bovensiepen」は、BMW「アルピナ」と深い関係を持つボーフェンジーペン家によって立ち上げられたブランドです。
アルピナは1965年にブルカルト・ボーフェンジーペンが創業し、BMW車をベースに高性能モデルを手掛けてきました。その後、2026年からアルピナはBMWの傘下となりましたが、Bovensiepenは独立したブランドとして、創業者一族が培ってきた「Fine Driving」の思想を受け継いでいます。
大型化やSUV化が進む現在の自動車市場に対して、あえて軽快な2シータースポーツカーにこだわったのが、このスパイダーです。
公式プレスリリースでは、近年は軽量な2シーターロードスターというカテゴリーそのものが縮小していることにも触れています。
つまり、スパイダーは単にZ4をベースにした新型車というだけではなく、消えつつあるクラシックなロードスターを現代の技術で残そうとしたモデルともいえます。
フランク・ステファンソンが手掛けた独自デザイン
エクステリアデザインは、自動車デザイナーのフランク・ステファンソンとの共同開発によるものです。
ロングノーズ、後方に配置されたコックピット、短いオーバーハングという、フロントエンジン・スポーツカーらしい古典的なプロポーションを基本としています。
そのうえで、フロントにはBovensiepenの特徴でもあるブラックのスプリッターを装着。
大型化されたフロントフェンダーのエアアウトレットやサイドスカート、リアディフューザーなどによって、Z4とは異なる表情に仕上げられています。
リアには大型のスポイラーも備えられ、ボディ後端を長く見せることで、より伸びやかなシルエットを作り出しました。
足元には10本のダブルスポークを持つ20インチ鍛造ホイールを装着。
単にデザインを変えるだけではなく、軽量化によって俊敏性や乗り心地にも配慮されています。
今回のBovensiepenも、これまでのアルピナブランドのモデルと同様に、基本的にフルエアロで全くの別の車のようにカスタムしてしまう方向性ではなく、ベースモデルのスタイルの良さをそのまま生かしたカスタムなのは変わらず引き継がれているようですね。
3.0リッター直6は435馬力を発揮
ボーフェンジーペン・スパイダーの大きな魅力が、直列6気筒エンジンです。
搭載されるのは3.0リッターのツインスクロールターボ付き直列6気筒エンジンで、最高出力は435馬力、最大トルクは580Nmを発揮します。
車両重量はDIN規格で1585kg。
Bovensiepenは単純に最高出力だけを追求するのではなく、3.6kg/馬力というパワーウェイトレシオと、直列6気筒らしい滑らかで調和の取れたパワーデリバリーを重視しています。
エンジンには吸気系の変更が加えられています。
吸気ダクトを拡大するとともにラムエア用の追加チャンネルを設け、吸気サイレンサーも大型化。さらに専用スポーツエキゾーストによって排気効率も最適化されています。
その結果、0-100km/h加速は4.2秒。
最高速度は標準仕様で260km/hに達します。
パフォーマンスパッケージなら最高295km/h
さらに、よりスポーティな走りを求めるユーザーには「Performance Package」が用意されます。
このパッケージでは、アルミニウム削り出しの専用リアディファレンシャルカバーを採用。大型の冷却フィンによってリアディファレンシャルの熱負荷を抑えます。
さらにアンダーボディにはVブレースによる補強を追加。
これによってボディ剛性を高め、シャシーの応答性を向上させています。
Performance Package装着車では最高速度が295km/hまで引き上げられます。
トランスミッションはZF製8速ATで、ステアリングのパドルシフトによるマニュアル操作にも対応しています。
シャシーもZ4とは別物に
スパイダーではエンジンだけでなく、シャシーにも専用のチューニングが施されています。
サスペンションには専用セッティングのダンパーを採用し、リアにはより長い補助スプリングを組み合わせています。
タイヤはミシュラン「Pilot Sport 4 S」で、サイズはフロントが255/35 ZR20、リアが295/30 ZR20。
さらにオプションで高性能ブレーキシステムも設定されます。
フロントには4ピストン固定キャリパーと395mmの穴あきディスク、リアには345mmの穴あきディスクを採用。
パワーを引き上げるだけではなく、ステアリングやサスペンション、ブレーキまで含めてロードスターとしての走りを磨いているのが特徴です。
内装は職人による仕立ても可能
インテリアもBovensiepenらしく、素材にこだわっています。
標準仕様ではヴェルネスカレザーとアルカンターラを組み合わせたシートを採用し、ステアリングには高品質なラヴァリナレザーを使用。
ステアリングヒーターやコンフォートアクセス、Harman Kardonのサラウンドサウンドシステムも標準装備されています。
さらに、より個性的な仕様を求めるユーザーには、Bovensiepenの工房によるフルレザーインテリアも用意。
ダッシュボードをレザーで仕上げたり、Aピラーやウインドディフレクター、ロールバー周辺をアルカンターラにしたりすることも可能です。
ヘッドレストへの刺繍やエンボス加工など、オーナーの要望に応じたカスタマイズにも対応しています。
また、トランク容量は281リッターを確保。
週末のドライブだけでなく、2人でのツーリングにも使える実用性を持たせています。
世界限定99台、ボディカラーにも台数を設定
Bovensiepen Spiderの生産台数は、世界でわずか99台です。
さらに5種類の専用メタリックカラーには、それぞれ生産台数が割り当てられています。
- サファイアブラック:40台
- サンレモグリーン:25台
- スカイスクレーパーグレー:20台
- サンダーナイト:9台
- フローズングレーII:5台
合計すると99台となります。
ただし、希望すればBovensiepenのマニュファクトリーで別のボディカラーを選択することも可能です。
そして99台すべてに、固有の生産番号を刻印したプレートが装着されます。
価格は約11万5500ユーロから
ドイツでのメーカー希望小売価格は、19%の付加価値税を含めて11万5500ユーロ。
日本円に単純換算すると、為替レートによって変動しますが、およそ2000万円前後となる価格帯です。
受注はすでに開始されており、最初の納車は2027年第1四半期末を予定しています。
もちろん日本での正規販売価格や導入については、現時点では別途確認が必要です。
「Z4の後継車」ではなく、Z4から生まれた別のロードスター
Bovensiepen Spiderを見ていると、少し不思議な感覚になります。
ベースとなったBMW Z4は、長年BMWのオープンスポーツカーとして存在してきました。
そのZ4をさらにチューニングした車が、Z4そのものが終わったタイミングで登場したからです。
しかもBovensiepenが目指したのは、単純なハイパワー化ではありません。
ロングノーズと後方のコックピットを持つ古典的なロードスターのスタイル、直列6気筒エンジン、後輪駆動、2シーターという組み合わせを残しながら、現代の安全性や快適装備、最新のシャシー技術を組み合わせています。
SUVが主流となり、スポーツカーでさえ大型化していく時代に、あえて小さな2シーターを選ぶ。
それがBovensiepen Spiderの一番面白いところなのではないでしょうか。
そして世界99台という生産台数を考えれば、これは単なるZ4の特別仕様車というより、BMWのロードスターをベースにBovensiepenが新たな解釈を加えた、ハンドビルドの限定スポーツカーと考えた方がしっくりきます。
アルピナがBMWのブランドとして新たな歴史を歩み始める一方で、その創業者一族の名を冠したBovensiepenは、別の方向から「Fine Driving」を追求する。
その象徴として登場したのが、この99台限定のスパイダーなのかもしれません。
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