アルピーヌが新型コンセプト「A310 VISION」を世界初公開!名車A310を現代風に再解釈したデザインコンセプトに。
アルピーヌが2026年10月、パリモーターショーで新型コンセプトカー「A310 VISION」を世界初公開しました。
モチーフとなっているのは、1971年から1984年まで生産したスポーツカー「A310」。アルピーヌの歴史を代表するモデルのひとつで、低く幅広い車体と直線的なデザインによって独特の存在感を放っていたクルマです。
今回のA310 VISIONでは、そんな往年の名車を現代のデザイン技術で再解釈。アルミニウムのボディや半透明のキャビン、大胆なリアウイングなどを組み合わせ、クラシックなスポーツカーの雰囲気と未来的な造形を融合させています。
さらに、アルピーヌが開発した新しいスポーツカー向けプラットフォーム「APP」によって、これまでにないボディ形状や空力デザインを追求できることも示しています。
1970年代の名車「A310」を現代に再解釈
アルピーヌA310は、初代「A110」に続くスポーツカーとして1971年に登場しました。
A110がコンパクトで軽快なスポーツカーとして知られるのに対し、A310はより幅広く、存在感のあるボディを採用。直線的なスタイリングや低い車高によって、当時のスポーツカーの中でもひときわ個性的なモデルでした。
初期モデルには4気筒エンジンが搭載され、1970年代半ばにはV6エンジンを搭載するモデルも登場し、ワイドフェンダーを備えたV6仕様は、より力強いスタイルを特徴としていました。ちなみに、A310はエヴァンゲリオンに登場した車としても知られています。
今回のA310 VISIONは、そうした初期の4気筒モデルが持つシンプルな造形と、V6モデルの筋肉質なボディを組み合わせるようにデザインされています。
アルピーヌのデザインチームは、実際のA310をスタジオに置き、スケッチやボディのボリューム、各部のラインを分析しながらデザインを検討したとのこと。
目指したのは、過去のクルマを忠実に再現することではなく、「もしA310が現代の素材や技術、デザイン手法を使って開発されていたら、どんな姿になっていたのか」という発想です。
そのため、A310 VISIONには往年の名車を思わせる雰囲気がありながら、細部には現代のスーパーカーにも通じる大胆な造形が盛り込まれています。
全高わずか1.18m!低く幅広いボディが特徴
A310 VISIONのボディサイズは、全長4.55m、全高1.18m。ホイールベースは2.45mで、リアの最も幅が広い部分では全幅2.03mに達します。
特に目を引くのは、全高の低さとリアに向かって大きく広がるボディです。
フロントからリアにかけて流れるようなシルエットを描きながら、後輪を覆うフェンダーは大きく張り出した形状に。車体を路面へ押し付けるような、低く幅広いスタンスを強調しています。
ボディにはアルミニウムを使用し、下部には有機的な造形を取り入れたブラックのパーツを配置。このブラックの部分は、F1マシンの空力パーツから着想を得たデザインとなっています。
一方、キャビンは半透明のバブルのような形状で、アルミニウムのボディやブラックの下部構造とのコントラストによって、まるで車体の上に透明なカプセルを載せたような印象を与えます。
アルピーヌらしい軽快なスポーツカーのイメージを残しつつ、従来の市販車ではなかなか見られない大胆なプロポーションに仕上げられているのが特徴です。
三角形のホイールや「A」のモチーフにも注目
A310 VISIONには、細部にもアルピーヌらしさを感じさせるデザインが盛り込まれています。
ホイールは、ブランド名の頭文字である「A」を思わせる三角形をベースにしたデザイン。初期のA310に採用されていた金属製ホイールから着想を得ており、ブランドの歴史を現代的なグラフィックへと置き換えています。
フロントでは、ヘッドライトをボディの造形に溶け込ませたデザインを採用。ライトは「ポップダウン」と呼ばれる演出によって、車両の起動時にその存在感を現す仕組みが取り入れられています。
また、ボンネットには「Sダクト」と呼ばれる空力処理を組み込み、シャープさと柔らかさを併せ持つ立体的な造形に仕上げています。
さらに、車体の中央を前後方向に貫く「Yゼロ」と呼ばれるブレード状のデザインも特徴で、ボディの中心からリアへ視線を導くことで、車体の奥行きやスピード感を強調しています。
過去のA310に似せるだけではなく、三角形や直線、立体的な面構成を組み合わせ、現代のアルピーヌにふさわしいデザインへと発展させたスタイルに仕上げられているのが特徴です。
透明感のあるリアウイングと空力を意識したテールランプ
リアまわりも、A310 VISIONの見どころのひとつで、特に印象的なのが、左右に分割されたリアウイング。半透明の素材を使うことで、一般的な大型ウイングのような重々しさを抑えながら、未来的な印象を強めています。
透明感のある形状は、氷や山岳風景を思わせるもので、アルピーヌがフランス・アルプスのイメージと結び付いたブランドであることもデザインの背景にあります。
リアのライトは細長いブレード状で、左右へ伸びるように配置。単なる照明パーツとしてだけでなく、空力性能にも関わる設計が採用されています。
その下には大型のディフューザーを配置し、リア全体を立体的に構成。スポーツカーとしての機能性を感じさせながら、ボディの造形そのものが空力パーツのように見えるデザインです。
もちろん、A310 VISIONは市販車ではないため、実際のダウンフォースや空力性能の数値は公表されていませんが、それでも、リアウイングやライト、ディフューザーを一体的にデザインしていることから、アルピーヌがスタイリングと空力の関係を重視していることがうかがえます。
インテリアはハイファイ機器から着想を得たデザイン
今回のA310 VISIONは、主にエクステリアデザインを探求するためのコンセプトカーです。そのため、インテリアについては市販車のように細かな仕様が公開されているわけではありませんが、半透明のキャビン越しに、その特徴的なデザインを確認できます。
興味深いのは、操作系のデザインで、近年のクルマではタッチスクリーンに機能を集約する傾向がありますが、A310 VISIONでは、ハイファイオーディオ機器から着想を得た物理スイッチや操作部を取り入れています。
手で操作する感触や、機能ごとに独立したスイッチの存在感をデザインの一部として活用している点が特徴で、デジタル技術を取り入れながらも、スポーツカーを操作する楽しさや、機械に触れる感覚を大切にしているようです。
ただし、今回のコンセプトカーはインテリアの完成形を提示するというより、半透明のキャビンを通して雰囲気を見せることを重視しています。実際の市販車に採用される装備や操作系を示したものではありません。
新型スポーツカー向けプラットフォーム「APP」が可能にするデザイン
A310 VISIONのもうひとつの重要なポイントは、アルピーヌの新しいスポーツカー向けプラットフォーム「APP」の可能性を示していることです。
APPは、スポーツカーとしての性能を追求しながら、実用的なモジュラー構造も備えることを目指したプラットフォームです。アルピーヌは、この基盤によって、従来の設計にとらわれないボディの比率や造形、空力処理などを検討できるとしています。
今回のA310 VISIONでは、低く幅広い車体や半透明のキャビン、分割式のリアウイングなど、一般的な量産車では実現が難しい大胆なデザインが盛り込まれていますが、APPがこうした造形の可能性を広げることを示す一方、今回の発表では具体的なパワートレインや出力、駆動方式、バッテリー容量などは公表されていません。
そのため、A310 VISIONを電気自動車や特定の市販モデルの先行試作車というわけではなさそうで、現段階では、アルピーヌの将来のスポーツカーづくりに向けたデザイン研究として見るのが適切だと思われます。
A310 VISIONは市販化されるのか?
今回のA310 VISIONは、A310の4気筒モデルが誕生55周年、V6モデルが50周年を迎える節目に公開されました。
アルピーヌは、ブランドの歴史を振り返りながら、過去の名車が持っていた個性を現代のデザインでどこまで発展させられるのかを探っています。
ただし、A310 VISIONが将来の市販モデルを予告するコンセプトカーではなく、メーカー自身も、今回のモデルを将来の量産車の発表ではなく、アルピーヌのデザインの歴史とAPPプラットフォームの可能性を探るための独立したデザインコンセプトと位置付けています。
これまでのアルピーヌのコンセプトカーは、市販化前提の現実的なデザインのものか、夢や理想を詰め込んだ未来的なスタイルのものかに分かれている印象があるので、このままリリースはないとしても、将来的にこのデザインの要素が今後発売されるモデルに反映されていく可能性は十分あるように感じられます。
参考資料
Alpine Global Media
「Alpine presents A310 VISION, a concept inspired by one of its major icons: the Alpine A310」
https://media.alpinecars.com/alpine-presents-a310-vision-a-concept-inspired-by-one-of-its-major-icons-the-alpine-a310/?lang=eng


















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