ポルシェがNFT事業を終了へ!あの頃描いた「Web3の未来」は約4年で一区切りを迎えることに。
ポルシェが2023年に開始したNFT、Web3関連のプロジェクトの終了を発表しました。
(画像:PORSCHE PIONΞERS CIRCLEのウェブサイトより)

ポルシェがNFT事業を終了へ!911 NFTと「PIONΞERS CIRCLE」の約4年にわたるWeb3プロジェクトに幕

ポルシェが、これまで展開してきたWeb3プロジェクトを終了すると発表しました。

終了するのは、ポルシェ「911」をモチーフにしたNFTコレクション「PORSCHΞ 911」を中心とするWeb3プロジェクトと、NFT保有者向けのコミュニティ「PIONΞERS CIRCLE」です。

発表は2026年10月1日、PORSCHΞの公式Xアカウントで行われました。ポルシェは、デジタルの世界とポルシェの精神をつなぐ新しい方法を探るところから始まったプロジェクトですが、約4年で終了することになります。

911をNFTにしたポルシェのWeb3プロジェクト

911をNFTにしたポルシェのWeb3プロジェクト
プロジェクトでは2363種類のNFTが発行されました。(画像:www.porsche.comより引用)

ポルシェがNFTを本格的に展開したのは2023年。

「PORSCHΞ 911」と名付けられたコレクションでは、911をデジタルアートとして表現し、所有者がデザインをカスタマイズできる仕組みを採用しました。

ポルシェ公式サイトによると、NFTは2,363点が発行され、それぞれ異なるデザインを持つバーチャル911として展開されています。NFT保有者には「PIONΞERS CIRCLE」への参加資格が与えられ、Discordを中心としたコミュニティも運営されていました。

単にデジタル画像を販売するだけではなく、ポルシェとユーザーがWeb3上でつながることを目指したプロジェクトだったわけです。

「NFTでポルシェを所有する」という新しい体験

当時のポルシェは、このプロジェクトをかなり意欲的に展開していました。

2023年に公開された公式記事では、NFTを単なるデジタルアートではなく、リアルとデジタルをつなぐ存在として紹介。NFT保有者向けのイベントでは実際にポルシェの車両を運転する機会も用意され、「PIONΞERS CIRCLE」を単なるオンラインコミュニティに終わらせない仕組みを作っていました。

さらにポルシェは、NFTの世界を紹介する記事を自社サイトで継続的に公開。「Web3」「デジタルの未来」「新しいコミュニティ」といった言葉とともに、かなり未来志向のプロジェクトとして発信していました。

ただ、2026年になってみると、その未来は思ったより早く一区切りを迎えることになったようです。

あの頃は「NFTは未来」だった

ポルシェがNFT事業を終了へ。あの頃描いた「Web3の未来」は約4年で一区切りを迎えることに。
当時はNFTと名のつく企画が大手メーカーからも多数立ち上がっていました。

NFTが大きな注目を集めた2021~2022年ごろには、自動車メーカーや高級ブランドが相次いでWeb3やNFTへ参入しました。

ポルシェもその流れに乗ったメーカーのひとつで、2021年にはデザインスケッチをNFTとしてオークションに出品。その後、911を題材にした本格的なNFTプロジェクトへと発展していきました。

当時は「クルマを買う」だけではなく、「デジタル上のクルマを所有する」という新しい体験が盛んに語られていた時代です。

今振り返ると、少し時代を感じさせるところもあります。

あれだけ「Web3の未来」を語っていたポルシェが、数年後にはそのプロジェクトを終了することになるのですから、デジタル業界の流行の移り変わりは、911のモデルチェンジよりも速いくらいです。

もちろん、NFTそのものが完全に失敗だったと決めつけることはできません。ポルシェの公式サイトを見ると、実際に1,000人以上のホルダーがコミュニティに参加し、90,000件を超えるメッセージがDiscord上で交わされるなど、一定規模のコミュニティが形成されていたことも分かります。

ただ、ここ最近ではNFTという言葉自体を目にすることもほぼなくなり、「これからNFTがブランドと顧客の関係を変える」という当時の熱気と比べると、今回の終了はなかなか象徴的な出来事です。

NFTそのものが消えるわけではない

今回の発表で注意したいのが、「ポルシェがNFTを終了する」といっても、すでに発行されたNFT自体が消滅するわけではないという点です。

発行済みの「PORSCHΞ 911」は現在の所有者のもとに残り、ブロックチェーン上にも引き続き存在します。

終了するのは、NFTを中心としたWeb3プロジェクトや「PIONΞERS CIRCLE」の活動です。

つまり、NFTというデジタル資産が消えてなくなるのではなく、ポルシェがその周辺で展開してきたコミュニティやサービスの運営に区切りをつける形です。

ポルシェがNFTで目指していたもの

そもそもポルシェは、単なるデジタル画像の販売を目的としてNFTに参入したわけではありません。

NFTをきっかけにブランドとユーザーをつなぎ、リアルなイベントやコミュニティへ発展させることを目指していました。

実際に「PIONΞERS CIRCLE」では、NFT保有者同士の交流だけでなく、サーキットでのイベントなども開催されています。ポルシェ公式記事では、NFTを所有したことをきっかけに実際のポルシェを運転する体験につながったユーザーも紹介されています。

このあたりを見ると、ポルシェがNFTにかけていた期待は決して小さなものではありませんでした。

だからこそ、今回の終了は単なる「NFTブーム終了」のニュースというより、ポルシェが数年間にわたって試してきたデジタル領域へのひとつの挑戦が終わる出来事と見ることもできそうです。

「未来の911」はブロックチェーンに残る

ポルシェがNFT事業を終了へ。あの頃描いた「Web3の未来」は約4年で一区切りを迎えることに。
残り続けるものは、今回のように消えていく無数のチャレンジの中から生まれてくるのだと思います。
Photo by Unsplash/Christian Lue

ポルシェがWeb3プロジェクトを終了しても、2,363点のPORSCHΞ 911 NFTは残ります。

現実の911が長い年月を経ても価値を持ち続けることを目指しているように、デジタル上の911もブロックチェーンの中には残り続けることになります。

ただし、そのNFTを取り巻いていたコミュニティやイベントなどは今回の終了によって大きく変わります。

「未来のクルマ」をデジタルの世界で所有するというアイデアが、果たして今後どこまで定着するのか。

2023年にはポルシェ自身が「Web3への旅」として紹介していたプロジェクトが、約4年で一区切りを迎えることになりました。

NFTブームの真っただ中で「ポルシェまでNFTを始めた」と話題になったことを考えると、今回の終了は少し皮肉な結末でもあります。

クルマの911は何十年も進化を続けていますが、Web3の世界では「次の世代」が来る前にプロジェクトそのものが終了してしまうこともあるようです。

参考資料

PORSCHΞ 公式X
https://x.com/eth_porsche/status/2105692323694686342

Porsche Pioneers Circle
https://www.porsche.com/international/communities/pioneers-circle/

Porsche「Father & son and their shared passion for Porsche and NFTs」
https://www.porsche.com/stories/dreams/father-son-porsche-and-nfts/

Porsche「Crypto Art」
https://newsroom.porsche.com/christophorus/en/2021/401/nft-non-fungible-token.html