なぜランボルギーニはSUVを作ったのか?LM002からウルスへつながるスーパーSUVの歴史

ランボルギーニはなぜSUVを作ったのか?

なぜスーパーカーブランドのランボルギーニがSUVを作ったのか?

ランボルギーニといえば、やはりスーパーカーブランドのイメージが強いでしょう。

ミウラ、カウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドール、そして現在のレヴエルトなど、どのモデルも低く構えたボディに強烈なエンジンを搭載し、「速く走るためのクルマ」というランボルギーニのイメージを作ってきました。

そんなメーカーが、いまでは大型SUVを作っています。

それが「ランボルギーニ・ウルス」です。

しかも、ただ大きくて速いSUVというわけではありません。現行の「Urus SE」は4.0リッターV8ツインターボに電気モーターを組み合わせ、システム最高出力800馬力、0-100km/h加速3.4秒、最高速度312km/hという性能を持っています。

SUVとして考えれば、とんでもない数字ですが、そもそもなぜスーパーカーのブランドとして世界的に知られている「ランボルギーニ」は、あえて実用性の高いSUVを作るようになったのでしょうか。

今回の記事では、そんなランボルギーニの40年にも渡るSUVの歴史を紐解いて解説していきたいと思います!


ランボルギーニのSUVは、1977年の「Cheetah」から始まった

ランボルギーニのSUVの歴史Cheetah

ランボルギーニが初めてSUVのような4輪駆動車に取り組んだのは、1977年のことでした。

ジュネーブ・モーターショーで発表された「Cheetah(チーター)」です。

現在のウルスとは似ても似つかないクルマですが、ランボルギーニのスーパーSUVを語るなら、ここを外すことはできません。

ただし、最初から「ランボルギーニ製の高級SUVを作ろう」と考えていたわけではなく、Cheetahはアメリカの企業MTIと共同開発された車両で、当初は民間向けの車とは異なる軍事用途を想定していました。

後部にはクライスラー製V8エンジンを搭載し、4輪駆動によって悪路を走破することを目的としていました。

ところが、アメリカ政府の軍用車両契約を獲得することができず、Cheetahがそのまま市販されることはありませんでした。

普通なら、ここでプロジェクトは終わってしまいそうです。

ところがランボルギーニは、Cheetahの開発で得た経験を次の車両へとつなげます。

それが「LM001」です。


Cheetahの問題から「LM001」が生まれた

ランボルギーニLM001

LM001はCheetahを発展させたモデルで、ここではランボルギーニらしさが一気に強くなります。

搭載されたのは、なんとカウンタック由来のV12エンジンでした。

軍用車両をベースにしたような大型4WDに、カウンタックのV12を組み合わせる。今考えてもかなり大胆な発想です。

しかし、LM001には大きな問題がありました。

エンジンを車体後部に搭載していたため、砂漠などでのテストでは重量配分に課題があることが分かったのです。

そこでランボルギーニは車両の設計そのものを見直します。

エンジンを前方へ移す。

この変更が、後のLM002につながっていきました。

つまりLM002は、突然現れた奇抜なSUVではありません。Cheetahから始まった開発の中で見つかった問題を一つずつ解決していった結果、生まれたモデルだったわけです。


そして1986年、「LM002」が登場する

ランボルギーニLM002

1986年、ブリュッセル・モーターショーでLM002が発表されます。

このクルマは、現在の感覚で見てもかなり異質です。

巨大なボディに大径タイヤを装着し、そのフロントにはカウンタック・クアトロバルボーレから受け継いだ5.2リッターV12エンジンを搭載していました。

最高出力は450馬力。

車両重量は約2.7トンにも達しましたが、それでも最高速度は200km/hを超えています。

しかも、LM002は単なる「V12を積んだオフロード車」ではありません。

ランボルギーニLM002 内装

室内にはレザーシートやウッドトリム、エアコンなどを備え、高級車としての快適性まで追求されていました。

2.7トン近い巨体で悪路を走り、その気になれば200km/h以上で走る。そして室内には高級車らしい装備が並ぶ。

今から見ると、かなり欲張りなクルマです。

ランボルギーニ自身がLM002を「世界初のスーパーSUV」と位置付けているのも納得できます。

なぜランボルギーニは、そこまでしてSUVを作ったのか?

ランボルギーニLM002

ここで改めて疑問が出てきます。

そもそも、スーパーカーを作っているランボルギーニが、なぜここまでSUVにこだわったのでしょうか。

確かにそのきっかけは最初にご紹介した「軍用車両」の開発でした。

しかし、CheetahやLM001の開発を進めるなかで、ランボルギーニは4輪駆動や悪路走破性を備えた大型車にも、自分たちの高性能エンジンや技術を組み合わせられることを経験します。

そして、その行き着いた先が「LM002」でした。

ランボルギーニLM002

つまりランボルギーニにとってSUVは、スーパーカーとは正反対の存在というより、「ランボルギーニの技術を別のジャンルで試すための舞台」でもあったのだと思います。

ただし、時代はまだ早かったのかもしれません。

LM002は1992年まで生産されましたが、製造されたのはわずか301台。

現在では非常に希少なモデルとして知られていますが、当時のLM002は、まだ一般的なSUVとはかなり離れた存在でした。

そしてLM002の生産終了後、ランボルギーニは長い間SUVを作りませんでした。


それから約25年。ランボルギーニが再びSUVを作る

ランボルギーニ ウルス

LM002の生産終了から約25年が経った2012年、ランボルギーニは「Urus」のコンセプトモデルを発表します。

そして2017年、ついに市販モデルが登場しました。

ここで面白いのは、ウルスが「LM002」の単純な後継車ではなかったことです。

LM002は、どちらかといえば「ランボルギーニがSUVを作った」ということ自体がニュースになるようなクルマでした。

一方のUrusは、もっと現代的な考え方で作られています。

・4ドアで、荷物も積める。

・日常的に使える。

・家族で乗ることもできる。

それでいて、アクセルを踏めばランボルギーニらしい加速を味わえる。

ランボルギーニ ウルス 内装

ここに、ランボルギーニが再びSUVを作った大きな理由があるのではないでしょうか。

スーパーカーは魅力的ですが、どうしても使える場面が限られます。

2シーターでは家族全員で出かけることはできませんし、荷物をたくさん積むのも難しい。

その点、SUVなら日常生活の中でも使いやすく、ただ中身はランボルギーニなので、それでもスーパーカーブランドとしてのランボルギーニらしいデザインと性能を楽しめる。

Urusは、いわば「ランボルギーニをもっと日常に持ち込むためのクルマ」だったとも考えられます。

それでもウルスは、普通のSUVにはならなかった

ランボルギーニ ウルス

もちろん、ランボルギーニがSUVを作るからといって、普通のSUVになるわけではありません。

初代Urusは4.0リッターV8ツインターボを搭載し、最高出力650馬力を発生。

0-100km/h加速3.6秒、最高速度305km/hという性能を実現しました。

SUVなのに最高速度305km/h。

実際にこの数字だけでも、ランボルギーニがUrusに何を求めていたのかがよく分かります。

デザインも同じです。

低く見えるキャビンや鋭いボディライン、六角形を使ったデザインなど、歴代ランボルギーニのスーパーカーを思わせる要素が随所にあります。

大きなSUVだから仕方なくランボルギーニらしいデザインを載せた、というよりも、「SUVという形の中で、どうランボルギーニらしさを表現するか」を考えたクルマに見えます。

「もっと速いSUV」を求めてUrus Performanteへ

Urus Performante

Urusが登場すると、ランボルギーニはさらに性能を追求したモデルも投入します。

2022年に登場した「Urus Performante」です。

最高出力は666馬力。

0-100km/h加速3.3秒、最高速度306km/hを実現しています。

しかも、単純にエンジンの出力を上げただけではありません。

カーボンファイバーを使用して軽量化し、サスペンションも変更。エアロダイナミクスも見直され、よりスポーツカーに近い走りを目指しました。

その結果、Urus Performanteは2022年のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムで10分32秒064を記録し、市販SUVのコースレコードを樹立しています。

SUVで山を駆け上がってタイムを競う。

こうして考えると、ランボルギーニがSUVを作る理由は、単に「実用的なモデルが必要だったから」だけではなさそうです。

SUVというジャンルそのものを、ランボルギーニ流に解釈しているのです。

Urus SEでは、電動化まで性能に変えてしまった

Urus SE

そして2024年、Urusはさらに大きな変化を迎えます。

プラグインハイブリッドモデルの「Urus SE」が登場しました。

4.0リッターV8ツインターボに電気モーターを組み合わせ、システム最高出力800馬力、最大トルク950Nmを発生します。

0-100km/h加速は3.4秒、最高速度は312km/h。25.9kWhのバッテリーも搭載し、EVモードでは60km以上の走行が可能とされています。

ここで興味深いのが、ランボルギーニにとって電動化が単なる環境対策になっていないことです。

電気モーターの瞬発力を使って、さらに高いパフォーマンスを引き出す。

V8エンジンだけではなく、電気モーターまで性能のために使う。

これは現在のランボルギーニが考える「電動化」の一つの答えなのかもしれません。

結局、ランボルギーニはなぜSUVを作ったのか?

ランボルギーニはなぜSUVを作ったのか?

ここまでの歴史を振り返ると、答えは一つではありません。

1977年のCheetahは軍事用途という特殊な目的から始まりました。ですが、そこからLM001が生まれ、1986年にはV12を搭載したLM002へと発展していきます。

そして長い空白期間を経て、2017年に現在の「Urus」が登場しました。

CheetahとUrusだけを見ると、まったく別のクルマに見えます。

しかし、その間にはLM002があります。

このLM002の存在を考えると、ウルスが突然生まれたわけではないことが分かります。

ランボルギーニは昔から、スーパーカーだけにこだわっていたわけではありません。

自分たちが持っているエンジンや4輪駆動、シャシー、デザインといった技術を、別のカテゴリーに持ち込んでみる。

その結果、普通のクルマとは少し違ったものができるという試行錯誤や情熱による「結果」が現在まで続いていて、LM002もUrusも、その延長線上にあるように見えます。

そして今ではUrus SEが800馬力を発生し、最高速度312km/hに達するまでになりました。


「SUVなのにランボルギーニ」なのではなく、「ランボルギーニが作ったから、こんなSUVになった」。


そう考えると、ランボルギーニがSUVを作ったことは、それほど意外なことではなかったのかもしれません。

CheetahからLM002、そしてUrusへ。

約半世紀にわたって形を変えながら続いてきたランボルギーニのSUVの歴史を見ると、ブランドの根底にある「他とは違うクルマを作る」という姿勢は、今も変わっていないように感じます。

参考資料

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