ベントレー「トルカル」世界初公開!888馬力の初EVは“走るラグジュアリー”をどう変える?
ベントレーから、ブランドの歴史を大きく変える新型車が登場しました。
2026年9月23日、ベントレーは新型「トルカル(Torcal)」をロンドンで世界初公開しました。
ベントレーにとって初めての完全電気自動車であり、「コンチネンタルGT」「フライングスパー」「ベンテイガ」に続く4番目のモデルラインとなります。
しかも、ただ電気で走るだけのベントレーではありません。
最高出力は888馬力、最大トルクは1,350Nm。0-60mph加速はわずか2.8秒という、かなりのハイパフォーマンスSUVに仕上げられています。
ベントレー初のEV「トルカル」はどんなクルマ?
トルカルは全長約5mのSUVで、「ベンテイガ」よりもコンパクトなボディを持ちながら、ベントレーらしい存在感を追求しています。
デザインを担当したのは、ベントレーのデザインディレクター、ロビン・ペイジ率いるクルーのデザインチーム。
長いホイールベースや短いオーバーハング、立ち上がったフロント部分などによって、ベントレーが掲げる「アプライト・エレガンス」を表現しています。
フロントにはダイヤモンド模様のイルミネーテッド・グリルを採用し、リアはすっきりとしたデザインに。力強く張り出したリアフェンダーによって、ベントレーはこれを「レスティング・ビースト」と表現しています。
SUVでありながら、どこかGTらしい低く伸びやかな雰囲気を持っているのもトルカルの特徴です。
最高888馬力!ベントレー史上もっともパワフル
トルカルには、2基の永久磁石式モーターを搭載。
通常モデルは821馬力・1,194Nmを発生し、0-60mph加速は3.3秒、最高速度は250km/hに達します。
さらにスポーティな「トルカルS」では、ローンチコントロール使用時に888馬力・1,350Nmを発揮。
0-60mph加速は2.8秒、0-100km/hでも2.9秒という強烈な数字になっています。
1,350Nmというトルクはベントレー史上最高値です。
ここまで来ると「ラグジュアリーSUV」という言葉だけでは、ちょっと性能を説明しきれませんね。
ただし、ベントレーが目指したのは単純な速さではありません。
開発チームは、これ以上極端な加速になると多くの顧客にとって快適ではなくなることを把握しており、あえてこの性能に設定したとのことです。
速ければ速いほど偉い、という方向に行かなかったところは、いかにもベントレーらしいところでしょう。
アンチロールバーを使わない最新アクティブサスペンション
トルカルの技術面でも特に興味深いのが、ベントレー初採用となる完全アクティブサスペンションです。
各ダンパーを個別かつ瞬時に制御することで、路面やドライバーの操作に合わせて車体の動きを調整。
通常のサスペンションでは車体のロールを抑えるために使われるアンチロールバーを必要としない構造としています。
さらに、最大5度まで後輪を操舵する4WSも標準装備。
全長約5mのSUVながら、最小回転半径ではなく最小回転直径で11.1mという取り回しの良さを実現しています。
ベントレーによれば、乗り心地は「フライングスパー」、ハンドリングは「コンチネンタルGTスピード」に匹敵することを目指したとのこと。
つまり、SUVなのに乗り味はセダンやGTに近づけているわけです。
600km走れる113kWhバッテリー
完全EVということで、気になるのが航続距離です。
トルカルには113kWhのバッテリーを搭載し、WLTPモードで最大600kmの航続距離を実現。
800Vの電気システムを採用し、最大400kWの急速充電にも対応します。
10~80%の充電は約16分で、わずか7分の充電でも約161km分の航続距離を追加できるとされています。
約5mの大型SUVでありながら、長距離移動にも対応できる性能を持たせているわけです。
また、荷室容量は460Lで、フロントにも90Lの収納スペースを確保しています。
・公表された「ベントレー・トルカル」のスペックは以下となります↓
| 項目 | ベントレー・トルカル | トルカルS |
|---|---|---|
| 最高出力 | 821馬力 | 888馬力 |
| 最大トルク | 1,194Nm | 1,350Nm |
| 0-60mph | 3.3秒 | 2.8秒 |
| 最高速度 | 250km/h | 250km/h |
| バッテリー | 113kWh | 113kWh |
| 航続距離 | 最大600km | 最大600km |
| 駆動方式 | 4WD | 4WD |
エンジン音の代わりに「人間が演奏する音」
EVになると、ベントレーらしいV8エンジンの音がなくなってしまいます。
そこでトルカルでは、単純な「V8エンジン音の再現」ではなく、実際の楽器を使って新しいサウンドを作りました。
ドラム、ヴィオラ、ベースギターなどの演奏によって、ベントレーの6.75L V8が刻んできたリズムを表現した「ベントレー・ダイナミック・シンフォニー」を採用。
アクセル操作や車速に合わせて音が変化し、スポーツモードでは音量も大きくなります。
もちろん、静かに走りたい場合は完全にオフにすることもできます。
エンジンがなくなったので、今度はミュージシャンを連れてきたわけです。ベントレーらしいといえば、かなりベントレーらしい発想です。
ウールや木材まで新しい素材を採用
インテリアもトルカルの大きな見どころです。
ベントレーは今回、世界初となる100%メリノウールの自動車用ファブリックを採用。
18世紀から高品質なウール生地を製造してきた英国のフォックス・ブラザーズと共同開発したもので、サステナビリティにも配慮しています。
さらに、最大1,000層のウォールナット端材などを重ねて作る「オンブレ・ウォールナット」や、過去のベントレーを思わせるアルミニウム加工を現代的に再解釈した「サンバースト・アルミニウム」も用意されました。
この素材についての記事は先日別で公開していましたので、ご興味のある方は以下より
デジタル化が進むEVですが、触れたときの素材感については、むしろこれまで以上にこだわっているようです。
ベントレー・トルカルは日本でも販売される?
気になる日本での販売についても、すでに動きが始まっています。
ベントレー・モーターズ・ジャパンは、トルカルの日本語公式ページを公開しており、日本市場向けのモデルとして「トルカル」と「トルカル S」の2モデルを紹介しています。
公式サイトには「コンフィギュレーター」や「ご購入の相談」への案内も用意されているため、日本での購入を検討できるモデルとして展開されることが分かります。
また、ベントレー・モーターズ・ジャパンは2026年9月24日付で、トルカルを「ベントレー初の完全電気自動車」として日本向けにも正式に紹介しています。最高出力888PS、最大トルク1,350Nm、0-100km/h加速2.9秒、最大600kmの航続距離など、日本語での詳細なスペックも公開されています。
ただし、日本での車両価格や具体的な納車時期については、現時点で明らかになっていません。
ベントレー初の完全EVが日本でも正式に展開されることで、これまでの「コンチネンタルGT」や「ベンテイガ」とはまた違った選択肢が加わることになります。
トルカルがベントレーにもたらすもの
今回のトルカルは、ベントレーにとって単なる「初のEV」ではありません。
完全電動パワートレインを選択肢に加えながら、手作業によるクラフトマンシップ、快適性、素材へのこだわり、そして強烈なパフォーマンスという、これまでのベントレーらしさを残しています。
しかも、821馬力の標準モデルと888馬力の「トルカルS」という2種類を用意し、EVだからといって大人しい方向には振っていません。
一方で、巨大な出力競争だけを追うのではなく、「これ以上速くすると快適ではない」というところで性能を抑えているのも興味深いところです。
ベントレーがEVで目指したのは、速さだけを競う電動SUVではなく、電気で走ることを前提にしながらも、乗った瞬間にベントレーだと感じられるクルマなのかもしれません。
エンジンはなくなりましたが、素材、乗り心地、音、そして作り手のこだわりは残し、ベントレーが「電気自動車になってもベントレーである」という答えを、かなり豪華な形で示したモデルといえそうです。
参考記事
・ベントレー・メディア:The all-new Bentley Torcal makes global debut
・ベントレー・モーターズ・ジャパン:トルカル
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