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レクサスのデザインアイコンとなっている「スピンドルグリル」について、その成り立ちや意味などをご紹介しています。(画像:レクサスRC Fのプレスイメージより) |
■レクサスのデザインアイコン「スピンドルグリル」
レクサスが現在ラインアップしている全てのモデルで採用している特徴的な「スピンドルグリル」。
存在感の強い最近のスピンドルグリルデザインは2012年から採用されており、最近ではレクサスのクルマだと一目で理解出来るアイコン的なデザインとなっていますが、今回の記事では、この「スピンドルグリル」とは一体何なのか、どのような経緯で採用されたのか、今日まで進化を続けるスピンドルグリルデザインの変貌までをご紹介したいと思います。
■レクサスの誕生からスピンドルグリル以前のデザインコンセプトの流れ。
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現行型の「レクサスLS」では2013年のモデルチェンジよりスピンドルグリルが採用されています。 (画像:プレスイメージより) |
もともと、レクサスは1989年から米国でトヨタの高級車ブランドとして展開され、当時、大衆車メーカーの位置づけであった日本車が優れた品質やコンセプトにより高級車市場に参入し成功、レクサスブランドはその後も海外向けの高級車ブランドとして展開され、日本では同一の車種であっても「LS」を「セルシオ」、「GS」を「アリスト」などのトヨタブランドで販売していましたが、2003年に日本国内でも「レクサス」として展開されることが発表され、2005年より実際の販売が開始されました。
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こちらは初代レクサスLS、日本ではセルシオとして発売されていました。(画像:プレスイメージより) |
当初、レクサスでは先鋭を意味するLeading edgeの頭文字である「L」と、人間の感性や巧みの技の精妙を意味する「finesse」を組み合わせたL-finesseと呼ばれるデザイン理念をもとに、各モデルがL-finesseに基づくデザインを採用し、一般的に知られた「高級車」に見られる威圧感のあるスタイルではなく、シンプルで知的で先進的な部分を意識したものに仕上げられており、この時点では一目見て分かるような統一感のあるデザインは導入されていませんでした。
■「スピンドルグリル」が共通したデザインアイコンへ。
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2013年にリリースされた「レクサスGS」から本格的にスピンドルグリルが採用されていきます。 (画像:レクサスGSのプレスイメージより) |
レクサスが基本理念としたL-finesseと呼ばれるデザインコンセプトが採用された車種は、長く乗られていたり、中古で販売されているものも含め今でも多く走っているので目にする機会が多いですが、やはり、BMWやアウディなど多くの高級車ブランドが誰でも分かるデザインを各車種に採用しているのに比べると、一言で言えば「高級車的な華がない」だけでなく、同じトヨタのモデルとレクサスのラインアップでの差別化が図りにくい状況になってしまったようで、2012年に発売された「レクサスGS」から「スピンドルグリル」が本格的に採用され、今ではラインアップされた全ての車種で展開されています。
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今程分かりやすいデザインではありませんが、GS以前には「LFA」などにもそれに近いデザインが。 (画像:レクサスLFAのプレスイメージより) |
ちなみに、実際には、「IS F」などのモデルで、今程分かり易くないレベルでスピンドル系のデザインはスーパーカーの「LFA」なども含めGS以前から採用されていましたが、現在のように存在感のある印象的なグリルデザインは上記のGSからとなります。
■「スピンドルグリル」の意味。
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スピンドルグリルの原型的なデザインが採用されていた「IS F」(画像:プレスイメージより) |
そうした経緯で誕生した「スピンドルグリル」は、糸を紡ぐための道具である紡錘(ぼうすい)を意味する言葉となっており、これについては当初、ウワサとしてトヨタのルーツである豊田自動織機との関連性も出ていましたが、この説は自動車メディアのレスポンスが2012年に掲載したレクサスデザイン部主幹の稲冨克彦氏へのインタビューにて否定されており、スピンドルグリルデザインはグリルが大きい=高級車のイメージをやめたいという考えと、多くの空気をロワーグリルから取り込むための下側の台形型を発展させた結果、あのカタチになったとのこと。
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「IS F」や「CT200h」の時点では、「スピンドルグリル」ではなく、スピンドルっぽいグリル? (画像:レクサスCT200hのプレスイメージより) |
ちなみに、2012年に発売されたレクサスGSより前に「IS F」や「CT」で採用されていたグリルデザインは、現在のスピンドルグリルの原型的なものではあるようですが、実際には当初はスピンドルグリルではなく、デザインが「糸巻のカタチ」になっているといったところから「スピンドル」となり、その後の「レクサスGS」で「スピンドルグリル」として採用されたという流れのようなので、厳密には最初に登場した「IS F」や「CT」はスピンドルっぽいグリルであり、現在のスピンドルグリルとはちょっと違った意味合いのようです。
■「スピンドルグリル」の進化と今後。
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現在は「スピンドルグリル」を優先してデザインするという開発ではないようです。 (画像:レクサスRC Fのプレスイメージより) |
このような流れで、現在のレクサスを象徴するデザインとして採用された「スピンドルグリル」ですが、2013年には「スピンドルグリル」にこだわったデザインでの開発は行われないという報道がされ話題となりました。
SankeiBizが報じた記事で報じられた「固執しない」というのは、「スピンドルグリル」に捕われないことであり、このデザインで統一感は残しながらも全車同じ雰囲気ではなく、それぞれのモデルに合ったカタチで採用されていくという趣旨のものとなっており、その後に発表された「LS」、「RC」及び「RC F」、「GS F」などでも「スピンドルグリル」形式のデザインが大胆に採用されていることから、そのクルマの方向性や立ち位置に合わせた形でスピンドルデザインを採用しているようにも感じられます。
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大胆に進化を遂げたスピンドルグリルが、今後どのような進化を続けるのかも気になります。 (画像:レクサスRC Fのプレスイメージより) |
■レクサスの最新モデルに採用されたスピンドルグリルのデザイン。
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さらに進化を続けるレクサスの「スピンドルグリル」(画像:LS500 F Sportのプレスイメージより) |
現在では、全てのモデルが明確なスピンドルグリルの形状を採用していますが、全く同じという訳ではなく、それぞれのモデルの立ち位置や方向性、デザインに合わせて、違ったスタイルに仕上げられています。
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2017年にフルモデルチェンジが発表された「レクサスLS」のF SPORTモデルのスピンドルグリル。 (画像:LS500 F Sportのプレスイメージより) |
フラッグシップモデルとしてフルモデルチェンジした「LS」では、揺るぎない存在感を表現するためにメッシュパターンを採用しており、このデザインを表現するためにCADモデリングによりコンピューター上で手作業により、線一本、面一つに到るまで積み重ねて綿密に全体のバランスを整えており、その結果、アグレッシブかつ繊細な品格を備えたフラッグシップらしいオーラを放つよう設計されています。
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2016年に登場した高級クーペ「レクサス LC500」のスピンドルグリルデザイン。 (画像:LC500のプレスイメージより) |
また、最新のラグジュアリークーペ「LC500」では、ロアからアッパーへ、メッシュの密度が高まるグラデーションが取り入れられており、これにより綿密さと華やかさが表現されるだけでなく、グリルのロアエリアの密度を広げることによって効率よく空気を取り込み、ラジエーターを冷却するための風量を確保できるようにしているなど、デザイン面だけでなく性能的にも優れた効果を生み出すように設計されたものが採用されているようです。
近年の「スピンドルグリル」のデザインについては、賛否両論ありますが、今回ご紹介した経緯で誕生することになったこのデザインが、今後どのように進化していくのかにも個人的には期待しています。
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レクサスデザインの象徴「スピンドルグリル」とは。
Reviewed by hossy
on
05 2月
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