ディスプレイだらけやデジタル技術などのハイテク満載はもう終わり?アナログ回帰が目立つ最新コンセプトカーや新型車が多数登場!
近年のスーパーカーは、1,000馬力を超えるハイブリッドシステムや大型ディスプレイ、複雑な電子制御など、最新技術を詰め込んだモデルが主流となっていました。
一方、最近は少し違った動きも見られます。マクラーレン「McL 6GT」やヘネシー「ブラックバード」は、V8エンジンと6速MT、油圧式ステアリングなど、アナログな運転感覚を重視。市販予定のモデルやコンセプトカーでも画面に囲まれたようなインテリアではなく、シンプルかつ直感的なスタイルのモデルが相次いで発表されました。
さらに、初代ホンダ「NSX」を再構築した「JAS Tensei」や、ランボルギーニ「ディアブロ」を現代に蘇らせた「Eccentrica V12 ロードスター」など、往年の名車を現代の技術で再解釈するモデルも登場しています。
もちろん、業界全体が電動化やデジタル技術から離れているわけではありません。それでも、あえて昔ながらの操作感やエンジンの魅力を打ち出す動きは興味深いです。
今回は、Idea MOTIONで紹介してきた最近のモデルを振り返りながら、特にスーパーカーやスポーツカーの世界で見られる「アナログ回帰」について考えてみます!
マクラーレン「McL 6GT」はマニュアル操作と機械的な感触を重視
![]() |
| マクラーレンの新型車を示唆する「McL 6GT」(画像:プレスイメージより) |
まず注目したいのが、マクラーレンが2026年のモントレー・カー・ウィークで公開した「McL 6GT」です。
このモデルは、創業者ブルース・マクラーレンが1960年代に構想したロードカー「M6GT」を現代に蘇らせるというコンセプトで、V8エンジンやカーボンファイバー製モノコックなど、マクラーレンらしい技術を取り入れています。
しかし、今回のモデルで特に気になるのは、マクラーレンとして「F1」以来となる本格的な6速マニュアルトランスミッションを採用していることです。
![]() |
| 6速マニュアルトランスミッションを採用(画像:プレスイメージより) |
現在の高性能車では、変速速度や効率を追求したデュアルクラッチトランスミッションなどが一般的になっていますが、McL 6GTではドライバー自身がクラッチを操作し、ギアを選ぶという昔ながらの運転感覚を重視。さらに、油圧式ステアリングや機械的なスイッチ類、削り出しアルミニウムの操作系なども採用しています。
こうした装備は、単純に最新技術を並べるだけでは実現できない魅力を持っています。ステアリングを通じて路面の感触を受け取り、自分でギアを選び、クルマの反応を確かめながら走る。そうした一連の操作そのものを楽しめるように設計されているのです。
マクラーレンは2028年に市販モデルを投入する予定で、既存の主力ラインアップとは異なる新しいカテゴリーのスーパーカーとして展開する構想を示しています。
今後のスーパーカーがすべて電動化され、操作も自動化されていくのかと思いきや、マクラーレンはあえて人間が直接クルマを操る楽しさを強く打ち出してきました。
ヘネシー「ブラックバード」は自然吸気V8と6速MTを採用
![]() |
| ヘネシーが発表したアナログハイパーカー「ブラックバード」(画像:プレスイメージより) |
アナログな運転感覚を重視する姿勢が、さらに分かりやすく表れているのがヘネシー「ブラックバード」です。
このモデルは、イルモア・エンジニアリングと共同開発した6.2リッター自然吸気V8エンジンを搭載し、最高出力850馬力級を目指しています。しかも、エンジンは9,000rpm以上まで回転する高回転型ユニットとして開発されており、トランスミッションには6速MTを組み合わせています。
最近のハイパーカーでは、ターボチャージャーや電気モーターを活用して、低回転から強烈なトルクを発生させるモデルが数多く登場しています。一方のブラックバードは、自然吸気エンジンを高回転まで回し、その回転上昇やサウンド、アクセル操作に対する反応を楽しむという方向性です。
![]() |
| ブラックバードの内装デザイン(画像:プレスイメージより) |
もちろん、850馬力級という数字だけを見れば、十分に現代的なハイパーカーです。カーボンファイバー製モノコックなどを採用し、軽量な車体を目指している点にも、最新の技術が活用されています。
それでも、パワーを効率よく路面へ伝えることだけでなく、ドライバーが自分で操作して性能を引き出すことに重きを置いているのが特徴です。
McL 6GTとブラックバードには、マニュアルトランスミッションや機械との一体感を大切にするという共通点があります。どちらも、単純な速さだけではなく「運転すること自体にどれだけ楽しさを感じられるか」を改めて重視しているように見えます。
アウディ「ヌヴォラーリ」は最新技術を使いながらデジタル感を抑えたインテリアに
![]() |
| アウディの新型スーパーカー「ヌヴォラーリ」(画像:プレスイメージより) |
一方、アナログ回帰は必ずしもマニュアルトランスミッションや自然吸気エンジンだけの話ではありません。
アウディの新型スーパーカー「ヌヴォラーリ」も、インテリアの方向性という点で興味深いモデルです。
ヌヴォラーリは、4.0リッターV8ツインターボエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載し、システム最高出力1,001馬力を発生するという高性能モデルです。パワートレインや車両制御には高度な技術が投入されており、性能面ではまさにハイテク時代のスーパーカーといえます。
ところが、インテリアでは大型ディスプレイや最新のデジタル技術を採用しながらも、視覚的なノイズを抑え、運転に集中しやすい空間を目指しています。
![]() |
| デジタル技術を目立たせることをせずに機能的な配置が採用された内装(画像:プレスイメージより) |
近年のクルマでは、ダッシュボード全体をディスプレイで覆ったり、さまざまな機能をタッチ操作に集約したりするデザインが増えています。それに対してヌヴォラーリは、デジタル技術を目立たせること自体を目的にせず、必要な情報へアクセスしやすいことや、上質な素材と組み合わせて落ち着いた空間を作ることを重視しています。
これは、昔ながらのアナログメーターをそのまま復活させるという話ではありません。最新の技術を使いながら、乗員が受ける印象や運転への集中しやすさまで考えているという点で、ほかのモデルとは少し違ったアプローチです。
ハイテクなクルマを作ることと、ハイテク感を前面に出すことは必ずしも同じではありません。ヌヴォラーリのインテリアは、その違いを考えるうえでも面白い例になっています。
ホンダ「NSX」を再解釈した「JAS Tensei」は自然吸気V6と6速MT
![]() |
| NSXをベースにピニンファリーナとともに再構築したJAS Tensei(画像:プレスイメージより) |
現代の技術で過去の名車を蘇らせる動きも、アナログ回帰を象徴するもののひとつです。
JAS モータースポーツとピニンファリーナが共同開発した「JAS Tensei」は、1990年代の初代ホンダ「NSX」をベースに、ボディやインテリア、メカニズムを大幅に作り直したスポーツカーです。
車名の「Tensei」は日本語の「転生」に由来しており、初代NSXのデザインや走りの思想を現代の技術で再構築するというプロジェクトの方向性を表しています。
特に注目したいのは、パワートレインに電動化やターボ化を選ばず、自然吸気3.5リッターV6エンジンと6速MTを組み合わせていることです。最高出力は420馬力級とされ、ドライバーが自らギアを選び、エンジンを回して走るという、スポーツカーらしい操作感を大切にしています。
![]() |
| 最新技術を取り入れつつもスポーツカーらしい操作感を重視した仕上がりに(画像:プレスイメージより) |
デザインにも初代NSXの特徴が残されており、リトラクタブル式ヘッドライトや長方形のサイドエアインテークなどを現代的なボディラインと組み合わせています。
もちろん、車体には現代の技術を取り入れており、オリジナルをそのまま復刻したクルマではありません。それでも、初代NSXが持っていた軽快さやドライバーとの一体感を大切にしている点は、最新技術を投入して最高出力を競うだけのスーパーカーとは違った魅力につながっています。
「Eccentrica V12 ロードスター」はディアブロのV12とゲート式MTを現代に
![]() |
| ランボルギーニ・ディアブロのレストモッド「エッチェントリカV12ロードスター」(画像:プレスイメージより) |
同じく過去の名車を現代に蘇らせるモデルとして挙げたいのが、サンマリノを拠点とするレストモッドブランド、エッチェントリカの「V12 ロードスター」です。
ベースとなるのは、1990年代を代表するスーパーカーであるランボルギーニ「ディアブロ」。その独特なシルエットや自然吸気V12エンジンというキャラクターを残しながら、現代の技術を使って車両全体を再構築しています。
パワートレインには5.7リッター自然吸気V12エンジンを搭載し、最高出力550馬力、最大トルク600Nmを発生。トランスミッションは6速ゲート式マニュアルで、金属製のシフトゲートに沿ってギアを操作する、往年のスーパーカーを思わせる運転感覚を楽しめます。
![]() |
| 往年のスーパーカーを彷彿とさせるデザインを現在に再現(画像:プレスイメージより) |
今回のロードスターではルーフを取り払い、開放的なキャビンからV12エンジンのフィーリングを味わえるようにしているのも特徴です。単に屋根をなくすだけではなく、空力やシャシーまで含めて再設計されており、クラシックなスタイルと現代的な走行性能を両立させています。
このようなレストモッドは、旧車をそのまま保存するだけではなく、現代の技術を使って再び楽しめる状態に作り直すという考え方です。電子制御や快適装備をすべて排除するのではなく、元のクルマが持っていた魅力を残しながら、使い勝手や走行性能を改善する点に特徴があります。
ポルシェ「Mission S」は歴代モデルのデザインを現代的に再解釈
![]() |
| ポルシェが公開したミッドシップスーパーカーのコンセプト「Mission S」(画像:プレスイメージより) |
過去の名車を思わせるデザインという点では、ポルシェが公開した「Mission S」も興味深いコンセプトです。
Mission Sは、911より上位に位置する新たなミッドシップ・スーパースポーツカーの構想を示すビジョンモデルで、ポルシェが2035年に向けて掲げる新戦略の中で公開されました。
そのデザインには、丸型ヘッドライトやフロントフェンダーの盛り上がり、低く平らなノーズなど、歴代ポルシェのスポーツカーを思わせる要素が取り入れられています。911 GT1や959などを連想させるディテールも見られ、過去のデザインをそのまま復刻するのではなく、現代的な造形へと置き換えているのが特徴です。
さらに、公開されたティーザー映像では、中央にタコメーターを配置したメーターパネルも確認できました。これは「カレラGT」を思わせるレイアウトで、デジタル技術が進化する中でも、運転中に必要な情報を直感的に読み取れるコックピットを目指しているように見えます。
![]() |
| 内装も近年のポルシェのラインアップとは異なるシンプルな設計に。(画像:プレスイメージより) |
ちなみにこのモデル、ダッシュボードにはセンターディスプレイや固定式の助手席ディスプレイをあえて採用していないとのことで、ナビなどが必要ならスマホを取り付けてください。という、ものすごくシンプルな設計となっているのも特徴です!
ただし、現時点でMission Sのパワートレインや市販モデルの仕様は公表されていません。メーターパネルの表示からエンジン形式を推測する声もありますが、具体的なエンジンが搭載されるかどうかを含め、今後の発表を待つ必要があります。
Mission Sで注目したいのは、単に昔のポルシェに似せたデザインではなく、ブランドの歴史を感じさせる造形やコックピットを、新しいモデルの個性として取り入れている点です。
シトロエン「2CVコンセプト」はシンプルさを現代のEVへ
![]() |
| 名車2CVを再解釈したデザインのコンセプト。(画像:プレスイメージより) |
ここまで紹介してきたモデルは高性能車が中心ですが、アナログ回帰の考え方はスーパーカーだけに限りません。
シトロエンが2026年のパリモーターショーで公開した「2CVコンセプト」は、1948年に登場した歴史的な小型車「2CV」を現代の電気自動車として再解釈したモデルです。
初代2CVは、シンプルな構造と優れた実用性によって長年親しまれたクルマでした。今回のコンセプトでは、丸型ヘッドライトや曲線的なルーフ、丸みを帯びたフェンダーなど、初代の特徴を受け継ぎながら、LEDライトや現代的なボディ造形を組み合わせています。
全長3.76mというコンパクトなボディに、約1トンという軽量な車体を目指した設計も特徴です。さらに、シトロエンはこのコンセプトが示す方向性を受け継いだ新型車を2028年までに投入する計画も示しています。
ここで面白いのは、過去の2CVが持っていた「必要なものをシンプルにまとめる」という考え方を、電動化された現代のクルマへ持ち込もうとしている点です。
![]() |
| この方向性を受け継いだ市販車の投入も示唆されています。(画像:プレスイメージより) |
電気自動車というと、大型ディスプレイや先進的な操作系、複雑な電子制御などが注目されがちですが、クルマの魅力は装備の多さだけで決まるものではありません。コンパクトで扱いやすく、親しみやすいデザインを持ち、日常の移動を気軽に楽しめることも重要な価値です。助手席側についている機械は取り外しが出来るラジオというのも面白いですね。
2CVコンセプトは、最新技術を採用しながらも、クルマを必要以上に複雑にしないという方向性を考えるうえで興味深いモデルになっています。
ちなみに、現行市販モデルのC5エアクロスのデザインはこんな感じです。
![]() |
| 今現在のラインアップの内装は先進的なコックピットが特徴。(画像:シトロエンC5エアクロスのプレスイメージより) |
これはこれで先進的でカッコいいと思いますが、こう見ると、2CVコンセプトが昨今の最新車種と比べて、いかにシンプルな内装かが分かりますね。
過去の名車を再構築するモデルも増えている
![]() |
| 2CVコンセプトとともに発表された商用車バージョンのフルゴネット(画像:プレスイメージより) |
ここまで紹介したモデルを振り返ると、近年は過去の名車を単に復刻するのではなく、現代の技術を使って新しいクルマとして再構築する動きも目立ちます。
McL 6GTはブルース・マクラーレンが構想したM6GTの夢を受け継ぎ、JAS Tenseiは初代NSXの走りの思想を現代に蘇らせています。Eccentrica V12 ロードスターはディアブロのV12エンジンやゲート式MTを残しながら、車体や各種システムを現代的に作り直しました。
さらに、Mission Sや2CVコンセプト、商用車を想定した2CVフルゴネット・コンセプトでは、過去のデザインやクルマの考え方を現代の技術で再解釈しています。
これらのモデルに共通しているのは、昔のクルマをそのまま再現することだけを目指しているわけではない点です。過去のモデルが持っていた個性や魅力を取り出し、現在の技術や価値観に合わせて作り直しています。
なお、こうした動きはすべてのクルマがアナログ化していることを意味するわけではありません。最新の電子制御や電動パワートレインを積極的に採用するモデルも引き続き登場しており、メーカーや車種のカテゴリごとに目指す方向性は異なります。
それでも、最高出力や加速性能、ディスプレイの大きさといった数字だけでは表現しにくい価値に、改めて注目が集まっているように感じられます。
ここにご紹介したコンセプトモデルの多くは、将来的な市販車へ市販車へ反映させることを示唆するものでもあるため、近い将来、内装のあちこちにディスプレイが設置されギラギラと輝いているような行き過ぎた近未来なデジタル感は抑えられ、必要なものを厳選したカタチへと進化していくのではないでしょうか?
最新技術の時代だからこそ、アナログな魅力が目立つ?
![]() |
| 6速マニュアルトランスミッションを採用したマクラーレンのコンセプト「M6GT」(画像:プレスイメージより) |
ここ数年の自動車業界では、電動化や運転支援技術、デジタルコックピットなど、クルマの機能を高度化する動きが続いています。そうした技術は走行性能や利便性を高めるうえで重要ですが、一方で、運転する人が直接操作する場面や、機械の反応を感じ取る機会が少なくなることもあります。
マニュアルトランスミッションで自分のタイミングに合わせて変速することや、自然吸気エンジンを高回転まで回すこと、物理スイッチを操作して機能を切り替えること。こうした体験は、最新技術によって自動化や効率化を進める方向とは異なる価値を持っています。
こうして見ると、アナログ回帰という言葉には、単純に昔の装備へ戻るという意味だけでなく、クルマの魅力を何によって伝えるのかを見直す動きも含まれているのかもしれません。
今後も電動化やデジタル化が進んでいくことは間違いありませんが、その一方で、ドライバーが自分で操る楽しさや、長く愛されてきたデザイン、機械としての存在感を大切にするモデルも登場してくるはずです。
少し前まではアナログ感の残ったインテリアが多く市販されていたため、ハイテク化された近未来的な質感に対して価値を見出すことができました。ただ、今度はそれが当たり前になってきたことによって、逆にデジタルではない機械的な構造の美しさや、物理スイッチのようなドライバーが触って操作できるというそもそもの機能的な利点が再注目されるようになってきたのでは?とも感じられます。
最新技術をどこまで盛り込むかだけでなく、その技術を使ってどんな運転体験を作り出すのか。これからのスポーツカーやスーパーカー、そして今後投入される新型モデルを含め、そんな部分もメーカーごとの個性を分けるポイントになっていきそうです。
参考資料/画像
McLaren Automotive 公式ニュースルーム
アウディ「ヌヴォラーリ」
Audi「Nuvolari supercar: Audi accelerates technological renewal」
シトロエン「2CVコンセプト」
Citroën「2 CV Concept: Time 2 Meet Again」
ポルシェ「Mission S」
Porsche「Mission S: the essence of the sports car reinterpreted」
JASモータースポーツ/ピニンファリーナ「Tensei」
JAS Motorsport 公式サイト
ヘネシー「ブラックバード」
Hennessey Special Vehicles 公式サイト
エッチェントリカ「V12 ロードスター」
Eccentrica「The V12 Roadster」公式発表


















0 コメント